高齢者もOK! チクワ2本で運動しなくても筋肉量がアップ

筋肉量アップに毎日チクワ2本
筋肉量アップに毎日チクワ2本

 チクワを2本食べれば、運動しなくても筋肉量が増える――。こんな研究結果があるのをご存じか?

 2017年の「日本アミノ酸学会第11回学術大会」で「日本水産」が発表した内容によると、65歳以上の女性19人に、チクワなどの原料になるスケトウダラのミンチ30グラム(タンパク質量は4・5グラム。一般的なチクワの2本分相当)を毎日食べてもらったところ、平均筋肉量に有意な増加が認められた。特別な運動は行っていない。筋肉量減少が特に著しい下肢筋肉量においては、増加率が1・5%にもなったという。

 かつて陸上100メートル、4×100メートルリレーの元日本代表として活躍した「加圧トレーニングジムDEUX」代表の伊藤喜剛さんが言う。

「筋肉には速筋と遅筋があり、ほとんど変化がない遅筋に対し、速筋は40歳以上になると、急激に低下します。すると体形が変わったり、高齢者においては転倒リスクが高まります。筋肉量を増やすにはタンパク質の摂取が必要ですが、スケトウダラのタンパク質には『食べるだけ』で筋肉量を増やすという研究結果のほか、速筋を増やすという研究結果もあるのです」

■大豆、乳製品、卵白と比較してチクワだけが筋肉増加

 スケトウダラは、身から水分を除くとほとんどが速筋からなるタンパク質。この“速筋タンパク質”を6週間ラットに摂取させ、特別な運動をさせず、同じく高タンパク質の乳製品、大豆、卵白を摂取させたラットと比較すると、筋肉量が有意に増加したのはスケトウダラだけだった。

 さらに別の研究では、スケトウダラを摂取したラットは、摂取しなかったラットに比べてふくらはぎの速筋の線維が1・4倍太くなっていた。

梅井さん(手前)とトレーニング指導する伊藤さん
梅井さん(手前)とトレーニング指導する伊藤さん(C)日刊ゲンダイ
体脂肪率は7%も減少

「東京オリンピックの聖火ランナーとして走るために、毎朝チクワ2本、食べています」

 こう話すのは、現在91歳の梅井清香さん。1954年創業の中華料理屋「梅華」(東京・自由が丘)のオーナーで、聖火ランナーに選ばれている。都内最高齢の聖火ランナーだ。

 梅井さんが「若かったらやってみたいね」と言ったのは、聖火ランナー公募開始のニュースを見た時。1964年の東京オリンピックの時は店の運営などで銀行から1000万円を借りたばかりでテレビを見ている余裕もなかった。ただ、「やってみたい」と言ったものの、本当にやるとは思っていなかった。

「娘や孫が応募したら、と。娘が10年くらい通っている加圧トレーニングの伊藤先生(前出)に相談したら、『やる気があるならできるでしょう。トレーニングしましょう』となったんです」(梅井さん)

 伊藤さんによれば、トレーニング開始当初は体脂肪率43・5%。足踏みや椅子に座って立つ、腕を万歳する、といった段階から始めた。次第に負荷を上げていき、現在はマシンやダンベルを使ったトレーニングも実施。体脂肪率は7%減少した。涼しくなってきたので近々「ラン」も始める予定。最終的に1・2キロのトーチを持って走れるところまで「仕上げて」いく。

 食べるだけで速筋を増やせる研究結果を知り、チクワをすすめたのも伊藤さんだ。

「昨年11月、梅井さんが自宅で転倒して骨折したんです。その連絡を聞いた時、『大腿骨骨折!? それなら聖火ランナーはダメかもしれない』と思いました。高齢者で骨折となるとだいたいが大腿骨骨折で、そのままお亡くなりになるケースも少なくない。しかし梅井さんは幸いなことに背中の骨折で、リハビリを経て3月からトレーニングを再開できた。背中の骨折で済んだのは、それまでチクワを食べたりトレーニングしたりして速筋が増え、瞬発力を発揮できたからではないかと考えています」(伊藤さん)

 梅井さんは「(聖火ランナーを)やりきります! それが終わったらパタッといってもいい」とニッコリ笑った。

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