欧州では1日の新規感染者数が15万人を超え、第2波の襲来と大騒ぎしています。その原因は、欧州の友人医師が嘆いているように、マスクの着用、社会的距離の維持といった感染予防のルールを守らない風潮のためであり、日本が欧州と同じ状況になる可能性は高くないと考えています。
とはいえ日本も油断すれば第2波襲来のリスクがあります。今、何に注意すべきなのでしょうか? まずPCR検査について考えてみましょう。
PCR検査は検査時点での感染の有無を知るだけで、その後すぐに感染するかもしれないために検査の意味はない、という人がいます。あるいは、PCR検査はウイルスの断片を調べるので、現在の状況すら表していない、という意見もあります。
だからといってPCR検査が無意味とは思いません。感染リスクの高い人は症状にかかわらず検査を受け、無症状者や軽症者は自宅や施設で待機、中重症者は治療を受けることが感染抑制につながると考えます。
その意味で、世田谷区が「無症状でも感染拡散を起こしやすい職種の区民にPCR検査を無料で行う」と宣言したことは一定の評価をすべきだと思います。宣言には、無症状でも介護事業所や保育園などで働く職員、特別養護老人ホームなどの施設入所予定者が対象で、さらに陽性者へのフォロー体制の拡充も盛り込んでいます。
新型コロナ感染症では、大多数の感染者が無症状か軽症であり、無症状の感染者から他の人にうつる可能性があることが分かっています。台湾やベトナムなどでは地域や都市全員のPCR検査を行い、この感染症の封じ込めに成功しています。他の国々でも可能な限り広い範囲での集団PCR検査を行っているところが多いのです。
■抗体検査の方が有用ともいわれたが…
これに対して「やりすぎ」「経費の無駄」のほか、陽性者に対する社会的制裁を懸念する向きがあるのはご存じの通りです。中には、PCR検査の信頼度を問題にする人もおられます。
まずPCR検査は遺伝子増幅なのですが、初期の内外のPCRプローブ(ある物質を検出するために用いる物質)には信頼性に問題がありました。
しかし、きちんと検体が採取され、米国疾病対策センターのプローブのような信頼できるものを使用できれば、精度は非常に高いのです。さらに安全な唾液での検体採取で感染力のある人の診断ができます。現在の感染状況の把握ができない抗体検査よりはるかに有用です。
PCR検査の有用性は世界的に認められていますが、検体の取り方や感染時期の影響があるので、必ずしも感染者すべてが陽性になるわけではありません。
機械の自動診断のみを信頼せず、肺のCT検査、症状や病歴、血液検査などを組み合わせて総合的に確定診断することが国際的に推奨されています。
コロナ第2波に打ち勝つ最新知識