ビートルズの食生活から学ぶ健康

メタボとは無縁だった4人から学ぶべきことがたくさんある

1966年に初来日(C)共同通信社

 平均寿命の順位と年齢だけに目を奪われがちですが、実は現状はそんなに楽観視できるものではありません。私が医科大学を卒業した1980年当時は、胃や十二指腸を中心とする上部消化管の病気が主体で、小腸・大腸を中心とする下部消化管の病気はさほど多くありませんでした。

 ところが、ここ40年ほどの間に、病気の質が大きく変わり、胃や十二指腸の病気(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなど)は減少傾向となり、小腸や大腸の病気(大腸ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群、慢性便秘症)は、増加の一途をたどっています。

 とくに大腸がんは現在、国内の病死の中で女性第1位、男性第3位、難治性炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎は22万人超、クローン病7万人超という状況です。慢性便秘症も70歳以上になると、男性も女性と同程度の人が罹患しています。アンチエイジングが騒がれている時代ですが、「健康長寿」で人生を全うすることは決して容易ではないことを物語っています。

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松生恒夫

松生恒夫

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

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