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階段は上りより降りる方が大事!筋力を効率よく鍛えられる

階段利用は絶好のトレーニング
階段利用は絶好のトレーニング(C)日刊ゲンダイ

 記者は階段の上りが苦手だ。すぐに息が上がってしまうので、つい階段を避けてエスカレーターを選択してしまう。だが、階段利用は「お金を使わずにできる絶好のトレーニング」とよく耳にする。降りるときだけでなく、上りも階段を使うべき?

「階段は上るよりも、降りる方が楽だと思われがちですが、実は違います。降りる方がより筋肉を鍛えるトレ―ニングになるんです。とくに階段を降りることが高齢者にとっていい運動になることは、オーストラリアのエディスコーワン大学の研究でも分かっています」と話すのは、国際医療福祉大学熱海病院検査部・〆谷直人部長だ

 筋肉の運動には2種類ある。立ち上がる、持ち上げるといったときに筋肉を収縮する“コンセントリック運動”。座る、降ろすといったときに筋肉が伸びながら収縮する“エキセントリック運動”だ。

 “コンセントリック運動”は、筋肉を動かすことが多い動作であるため、意識せずとも日常的な動作で筋肉を頻繁に使える。一方、“エキセントリック運動”の動作は筋肉を使う機会が少ない。たとえば、座るときや、荷物を降ろすときの動きをイメージしてみてほしい。これらの動作は筋肉にあまり力を入れなくてもできる、というのが分かるのではないだろうか。

 しかしこの“エキセントリック運動”、じっくり取り組みさえすれば、使い方が分からずに鍛えきれていなかった筋肉まで鍛えられる。「階段を降りる」という行為は、この“エキセントリック運動”に当たるそうだ。階段を降りる時には、着地するたびに太ももの前面の筋肉を伸ばして体をストップさせる必要があるため、筋肉を使う。これを繰り返し行なえば、筋力が効率よく鍛えられる。筋肉を鍛えたい人にとって、階段を降りることは絶好のトレーニングになる。

「エキセントリック運動は、コンセントリック運動より認知能力が多く要求されます。階段を降りる時は、上る時より足元に気を使う。腰を降ろす時は、上げる時より椅子の状態を確かめる必要がありますよね。これらすべては脳の活性化にも役立つので、特に高齢者には積極的に階段を下りてほしいのです」と〆谷部長。

 なお、階段の上り下りには体重の5~10倍の負担が下肢の関節(股関節や膝関節など)にかかる。足腰に自信がなくて駅の階段を敬遠している人も多いだろう。その場合は、上りはエスカレーターやエレベーターを使用し、降りるときのみ階段利用で。最低でも週に2回くらいは降りる時に階段を使うようにするといいそうだ。

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