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鼻血が出やすくなった…深刻な病気じゃないかと心配です

内科医の山本佳奈氏
内科医の山本佳奈氏(提供写真)

 大人の鼻血は、乾燥したり、気温の変化が大きい冬の季節に出やすくなります。鼻炎や鼻詰まりで、鼻をかんだり、こすったりして粘膜が傷つくことが原因と考えられ、出血のほとんどは「キーゼルバッハ」部位と呼ばれる、血管が多数張り巡らされた部位から起こります。鼻の穴の入り口の皮膚が薄いあたりです。

 出血は数分から10分もすれば止まります。しかし、20~30分経っても血がボタボタと垂れてくるようなら、救急車を呼ぶか、最寄りの耳鼻科を受診してください。圧迫による止血を行っても、鼻血が続いている場合は、鼻血が出ている場所を焼くことで止血します。

 過去に脳梗塞などの血栓症の経験がある人は血液の固まりを抑える薬(ワルファリン)や血小板の働きを抑える薬(アスピリン)などを内服しており、血液が固まりにくくなっているので、要注意です。また、冬は血圧が上がりやすいので高血圧や糖尿病の人は、脂質異常などによって血管の弾力が弱くなり、キーゼルバッハ部位から出血しやすくなります。

 ほかには転んだり、顔を強くぶつけることによる顔面骨骨折で出血する場合もあります。

 最悪のケースとしては、鼻の中にできた腫瘍、上顎洞がん、白血病などが考えられます。

 上顎洞とは、副鼻腔のひとつ。頬の骨の裏側にあって鼻の左右にある空洞のことです。がんができても初期症状はあまりありませんが、鼻詰まりや鼻血が続くときはこの疾患の可能性を疑います。白血病も、体のあざや歯茎の出血、そして鼻血も初期症状として起こる場合があるので注意が必要です。鼻血が止まらないときや、すぐに止まっても数日後に出る状態を繰り返すようなら、診察を受けることをおすすめします。

 最後に、鼻血が出たときの処置のポイントとしては、慌てず、まずは親指と人さし指で小鼻を10分程度、しっかりとつまんで押さえます。このとき、顔を上に向けてはいけません。喉に血液が流れるので、誤嚥を起こすケースがあるからです。さらに、眉間のあたりを氷水などで5分程度冷やすのも有効とされています。

▽山本佳奈(やまもと・かな) 1989年、滋賀県出身。2015年3月滋賀医科大学卒業後、南相馬市立総合病院勤務。18年4月から、ときわ会常磐病院勤務。東京大学大学院医学系研究科医学博士課程生殖・発達・加齢医学専攻へ入学し、18年10月からナビタスクリニック(立川・新宿)勤務。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」にて解説します。

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