からだデータ

出生者数は35年間で4割減…人口減の原因は「政府の質」?

フランスは政府の多岐にわたる子育て支援で先進諸国でトップの出生率に
フランスは政府の多岐にわたる子育て支援で先進諸国でトップの出生率に(C)PIXTA

 少子化傾向に拍車がかかる。厚労省の調査によれば今年5~7月に提出された「妊娠届」は対前年同期比で11・4%減だ。1~4月は0・5%減にとどまっていたが、5月以降急激に低下した。コロナ感染、そして経済の先行き不透明な状況は若い世代の「子づくり」に慎重なスタンスと無関係ではない。

 2019年の出生者数は86万5234人。1985年には143万1577人だったから、35年間で約40%減少した。このままでは来年はさらに減り80万人以下になることは間違いない。遠い未来の話だが、このまま推移すると480年後の2500年には日本の総人口は約10万人になるらしい。

 もちろん必ずしも「人口=国力」ではない。しかし、資源、工業・農業などの生産力、技術力をはじめ文化、社会のあり方、あるいは防衛力などとともに、人口はさまざまな国力測定法のバロメーターとされる。さらにその国の政府の質も国力測定の重要な要素だ。

 出生率は女性が生涯で出産する数を表す数値だ。18年の日本の出生率は約1・42。この数値が2・1以上でなければ人口は維持できない。長く出生率低下が続いたフランスは、政府の多岐にわたる子育て支援政策によって、18年の出生率は1・88。先進諸国でトップだ。日本における出生率低下の原因は、結婚率の低下、晩婚化、夫婦の少子化志向などが挙げられる。もちろん、子供を産むか産まないかは自由だが、「産みたいけど産めない」のであれば問題だろう。

 政府は第4次少子化社会対策大綱で「希望出生率1・8」を目標に掲げているが、お題目ばかりでは実現は難しい。フランスの例を考えれば「政府の質」こそが、人口減、ひいては国力低下の大きな原因なのでは?

関連記事