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足<上>健康な足は10人に1人…扁平足を治す靴の選び方

カギはヒールカップ
カギはヒールカップ(C)PIXTA

 いつまでも健康でいるために肝心要となるのが「足」。歩けることが健康の基本だ。しかし、歩くと足に「少し痛みが出る」「疲れやすい」といった症状があっても、「一時的なもの」「歩きすぎた」などと軽く考え、放置している人が多い。足のちょっとした違和感は、歩くたびにどんどん悪化し、タコやウオノメ、巻き爪や外反母趾などの足のトラブルを引き起こす。その根本原因は、自分の足の形と機能にあることを理解しておいた方がいい。「足のクリニック表参道」(東京都港区)の桑原靖院長が言う。

「足は、片足28個の骨が複雑に組み合わさっています。そして横から見ると5本の指の付け根、甲、かかとを結ぶ『三角アーチ』、前から見ると第2指の甲を頂点とした『半円アーチ』を描いています。この足アーチが微妙に“たわむ”ことで、地面からの衝撃を吸収しています。このアーチ構造が崩れることで、足の痛みや疲れ、さまざまなトラブルが引き起こされるのです」

 足アーチが崩れる要因は、立ち方や歩き方の悪いクセ、加齢による筋肉や靱帯の衰えなど、生まれつき骨格が歪みやすい人もいる。

 そもそも足アーチが保たれた健康な足の人は、日本人の1割くらいしかいないという。約7割は足アーチが潰れて、土踏まずが平らになっている状態の「扁平足タイプ」。骨格が前後左右に開き、歪みが生じて痛みが出る。

 足アーチが高く盛り上がった「甲高タイプ」も、足首の付け根やかかとなどに負荷が集中するので痛みが出やすいが、日本人の約2割と多くはないという。

 日本人の足のトラブル対策は、扁平足対策といってもいいわけだ。しかし、「自分は扁平足ではない」と思っていても、立つと土踏まずが潰れる「隠れ扁平足」も多い。扁平足を確認するには、どうすればいいのか。

「真っすぐ立って足を後ろから見たとき、内側に倒れている状態を『回内』、外側に倒れている状態を『回外』といいます。扁平足は土踏まずが潰れて回内が強い『過回内』になります。素足で立って、家族にスマホなどで足を後ろから撮影してもらってください。扁平足は外側から足の小指や薬指が見えます。それと靴のかかとの内側がすり減る人も、扁平足の可能性があります」

 足アーチが崩れる扁平足(回内)を防ぐ“足のケア”の基本は、まずは適正な靴を履くこと。桑原院長が指摘する靴選びのポイントは、次のようなことだという。

■靴選びの10カ条

①ヒモかベルトで足を固定できる

②足の甲まで覆われている

③素材が適度に伸びて発汗に優れるもの(革は、さまざまな足の形に適合していくのでおすすめ)

④ヒールカップ(靴のかかとの部分)がしっかりと硬く、かかとにフィットするもの

⑤靴の中の爪先の余裕が5~10ミリ程度

⑥インソールが外れる(交換できる)構造になっている

⑦置いたときに安定感があり、先端部分が少し浮いている

⑧アウトソール(靴底)は硬すぎず、軟らかすぎず、厚みがあり、デザインは左右対称

⑨MP関節(指の付け根)の部分でしか曲がらない構造

⑩ドロップ(かかとと爪先部分の高低差)が5~10ミリ程度

「靴選びで最も重要なのは、ヒールカップが硬く、フィットしているかどうかです。かかと回りに『ヒールカウンター』と呼ばれる芯材が入っていると、足アーチの崩れを靴が後ろから防止してくれます。かかとが倒れなければ、足アーチは崩れません。また、わざとアウトソールのデザインを左右非対称にした靴がありますが、それを一日中履くのはあまりおすすめできません」

 すでに崩れた足アーチを正常な形に治すことはできないが、放置していたら悪化する足のトラブルを改善することはできる。それは適正な靴に“適正なインソール”を挿入する。靴のかかとと甲で足をしっかり押さえて、インソールで潰れた土踏まずの部分を下から支えるのだ。

■インソールの選び方

①素材はプラスチックベースで硬く、形が崩れないもの

②土踏まずの部分が立体的に作られている

③足にフィットする(挿入する靴を持参して、試し履きをする)

 靴屋で売られているインソールは軟らかい素材のものが多いが、スポーツ用品店などでは硬い素材のタイプが5000円くらいで購入できるという。

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