たとえば、「東京都交響楽団」が発表した「COVID―19影響下における演奏家再開に備えた試演」の粒子計測では、歌手および楽器から発生する飛沫の計測結果では男性歌手が発する飛沫の数および頻度が最多。歌い方により飛び方は異なり、ドイツ語の朗々とした歌い方ではそれほど多くなく、イタリア語の破裂音が多い曲では多くの飛沫が見えた。大きめの粒子はほぼ真下に落ちる一方で気流に乗る小さな粒子もあり、顔付近の粒子濃度が増えていく様子が観察された。別の実験ではソプラノ、テノール共に口元で最も多くの微粒子が測定されている。
弘邦医院の林雅之院長が言う。
「カラオケ店での感染が多いことから歌は危険と考えがちですが、問題はマイクの共用や飛沫が付着した飲食物を口にするとか、換気の悪い部屋で密になるからであって、歌そのものではないかもしれません。一部合唱団で感染者が出たのも休憩中の飲食が原因の可能性もある。検証結果から歌う人が2メートル近く離れていれば飛沫感染の恐れは少ないし、破裂音の多い曲でなく、換気がしっかりできていればエアロゾル対策にもなり、歌による感染リスクは下げられるはずです」
全日本合唱連盟は11月に新たなガイドラインを示すという。今年の年末も第九は聞けそうだ。
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