新型コロナは血液型O型が感染も重症化もしにくい 最新発表

A型、AB型が新型コロナ感染の重症化要因
A型、AB型が新型コロナ感染の重症化要因(C)日刊ゲンダイ

 ABО式血液型ごとに新型コロナウイルスの感染リスクが異なる――。新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた頃からいわれてきたことだが、これに関連して新たな研究論文が発表された。感染リスク、重症化リスクともに血液型に左右される可能性があるのは本当らしい。

 A型及びAB型の新型コロナウイルス感染症患者は重症化しやすい。そんなカナダ人研究者の論文を掲載したのは米国血液学会誌「Blood Adv」。2020年2月21日~4月28日にカナダ・バンクーバー市内6施設の集中治療室(ICU)に入室した新型コロナ感染症患者のうち血液型が判明した95人を調べたところ、重症化の割合はО型・B型群に比べてA型・AB型群の方が多かったという。

 研究では①機械的人工換気②慢性代謝性アシドーシス、高カリウム血症、尿毒症性脳症などを伴う急性腎障害を重症化と定義した。

 その結果、ICUに入室した95人のなかに機械的人工換気を要した割合はО型・B型群は57人中35人で61%。一方、A型・AB型群は38人中32人の84%と高率だった。

 慢性代謝性酸血症などを伴う急性腎障害を起こした患者の割合もО型・B型の群は9%で、A型・AB型の群は32%と高かった。

 ICU滞在期間の中央値は、O型・B型群が9日間だが、A型・AB型群は13・5日間と長かった。

 同様な研究は、6月17日付の「New England Journal of Medicine」電子版にも掲載されている。イタリアとスペインで新型コロナにより集中治療室に入院した患者約1600人を対象に調べたところ、酸素吸入または人工呼吸器が必要になるリスクは、血液型A型で45%高く、O型では35%低いことが報告された。

■O型は血液が固まりにくい

「血液型で分かるなりやすい病気・なりにくい病気」(講談社・ブルーバックス)の著者で長浜バイオ大学医療情報学教授の永田宏氏が言う。

「今回の研究はこれを追試するもので、血液型のA型やAB型が新型コロナウイルスの感染の重症化要因であることを裏付けるものです。しかも、同じ米国血液学会誌『Blood Adv』には血液型と新型コロナに関する別の研究が掲載されています。それはデンマークで行われたPCR検査で陽性とされた人の割合と検査を受けなかった集団での血液型ごとの割合を比較したものです。それによると、検査で陽性だった7422人のうち、О型は38・4%なのに対して、同国で検査を受けていない220万人の中では、О型は41・7%を占めていました。一方、A型は陽性者の44・4%に対し、42・4%でした。つまり、О型はA型よりかかりにくいということを示しているのです」

 血液型によって感染症の罹患リスクや重症化リスクに差異があるケースはこれまでにも確認されている。たとえば、O型の人は新型コロナと同じコロナウイルスで起きる重症急性呼吸器症候群(SARS)にかかりづらく、マラリアで重症化しづらいとみられている。

 なぜ、О型は新型コロナに感染しにくく、重症化しにくいのか?

「新型コロナウイルス感染症は呼吸器の病気といわれていますが、その本質は血栓症だと考えられています。実際、5月13日には日本血栓止血学会が、新型コロナによって血栓症リスクが増大するとして、警鐘を発信しています。新型コロナで生じるのはミクロな血栓で、全身の毛細血管を詰まらせるのですが、とくに肺や腎臓には毛細血管が多いため、肺炎や腎障害など目立った症状が出やすいのです。血液型との関係ですが、О型はほかの血液型に比べて血液凝固因子のひとつが薄く、血が固まりにくいことが知られています。それがO型が重症化しにくい理由のひとつなのでしょう」

 とはいえ、「血液型による差はない」とする別の研究もあり、現時点では定まった見解とは言えない。血液型はなんであれ、今後もマスク、手洗い、3密回避が必要なのは言うまでもない。

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