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コロナも怖いが性感染症も怖い…梅毒が右肩上がりで増加中

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 コロナ感染の話題に埋もれてしまっている感があるが、同じ感染症でも「性感染症」の増加傾向が明らかになっている。

 性感染症とは、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症、梅毒などをいう。厚労省の「性感染症報告数」で2000~19年の感染者数の推移を見てみると、約半数に減少した淋菌感染症と性器クラミジア感染症以外はいずれも増加傾向にある。

 とくに増加しているのが梅毒感染者。14年の1661人から、2690人、4575人、5826人、7007人と年ごとに増加傾向にあり19年はやや減少したが6639人と報告されている。総数増加とは別に気になるのは、女性感染者の割合の急激な増加だ。14年の感染者1661人の内訳は男性1284人、女性377人だったが、年々女性の占める率が上昇し、19年の感染者6639人のうち女性が2255人となっている。

 女性の場合、妊娠期に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡ほかの事態のリスクが高まる。

 梅毒は初期段階では陰部、口唇、口腔内などの感染部位に発疹ができたり、股の付け根部分のリンパ節に腫れが生じたりするが、ほかの性感染症に比べて、痛み、かゆみなどの自覚症状が少ない。早期に薬物治療を行えば完治は可能なのだが、症状がないからと治療せずに放置しておくとやがて心臓や脳に重い合併症をもたらすことも多い。

 人に知られたくない病気なだけに、医療機関で受診することをためらう人も多いが、早期発見、早期治療がなによりも重要。無料、匿名で検査を受けられる地域もある。

 セックス自体は大いに結構だが、自分のため、他人のために性感染症を招く「危険なセックス」は禁物だ。

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