一方、最近とみに注目が高まっているのが、糖尿病の治療薬であるGLP―1受容体作動薬です。GLP―1は体内にあるホルモンで、血糖値を下げる働きがあります。インスリンの働きが悪くなっている糖尿病患者が薬で体外からGLP―1を補うことで、膵臓からインスリンが分泌されて、血糖値が下がるのです。
このGLP―1受容体作動薬は、体重減少効果もあり、欧米では肥満の治療薬として認可されています。日本では、日本人を対象にしたエビデンスがないので、肥満に対しては治療薬として承認されていません。アジア人と欧米人とでは体重の増え方が違うので、欧米人で問題なく使えても、アジア人でも同じように使えるとは言えないのです。過度に太っておらず、糖尿病でもない人に対し、美容目的でGLP―1受容体作動薬を自費診療で使う動きがあり、それを規制する警告も出ています。もちろん、糖尿病がある人に対しては、GLP―1受容体作動薬は問題なく使えます。肥満解消にいいほか、単独では低血糖を起こしにくいという利点があります。
進化する糖尿病治療法