病気を近づけない体のメンテナンス

足<下>専門医が指南 病気を防ぎ疲れない歩き方とストレッチ

足の違和感は放置すると悪化する(写真はイメージ)/
足の違和感は放置すると悪化する(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 歩くと足が「痛い」「疲れやすい」などのちょっとした足の違和感。放置しているとどんどん悪化して、「タコ」「ウオノメ」「巻き爪」「外反母趾」「足底腱膜炎」などのさまざまな足疾患を引き起こす。これらの原因の大半は「足アーチの崩れ」によるものだ。足の骨格は、5本の指の付け根、甲、かかとの3点を結ぶ「三角アーチ」と、甲の頂点同士を結ぶ「半円アーチ」によって立体的に成り立っている。この足アーチが微妙に“たわむ”ことで足にかかる衝撃を吸収している。

 ところが生まれつき骨格が弱かったり、加齢による筋肉や靱帯の衰え、立ち姿勢や歩き方の悪いクセなどの要因によって、足アーチがゆがんで崩れてしまうことがある。すると、衝撃を吸収できず、かかる荷重が一点に集中したり、筋肉や腱に余計な負担がかかったりすることで、さまざまな足のトラブルが起こりやすくなるのだ。

 足アーチの崩れを防ぐためには、自分に合った「適正な靴」を履くこと。すでに足アーチが崩れ、土踏まずが潰れた扁平足の状態なら、さらに硬い素材の「インソールを挿入」して、土踏まずの部分を下から支えてあげることが“足のケア”になる。

 また、正しい立ち姿勢や歩くときの足の運び方も、ある程度意識しておいた方がいい。「足のクリニック表参道」(東京・港区)の桑原靖院長が言う。

「背中が曲がっていたり、肩が左右どちらかに傾いたりすると、重心の位置がずれて、足にかかる力のバランスが崩れます。常に姿勢を整える習慣をつけましょう。正しい姿勢で立つと、体重の7割はかかとに、3割は足指にかかってきます。親指の付け根、小指の付け根、かかとの3点にバランスよく体重を分散して立つのが理想です」

 歩くときの足の運び方は、かかとから着地して足指の付け根で地面を蹴り返すのが基本になる。踏み返すときは、親指と人さし指の間で踏み返すイメージだ。それと足だけを使って歩くのではなく、股関節を使って骨盤を前後に動かすイメージで歩くと足にかかる負担が少なくなるという。

 ただし、骨盤が上下に動かないように体幹の筋力を鍛えておくことも必要だ。そして、普段から足の柔軟性を高めておくことも、足のトラブルを防ぐケアとして重要になる。

「ふくらはぎの筋肉やアキレス腱が硬いと足首が十分に曲がらず、踏み返すときにつま先に負担がかかります。この状態で歩くと、他の部分に無理な力がかかるので疲れやすく痛みも出やすいのです。柔軟性を高めるにはストレッチが効果的。歩く前に行えば疲れにくく、歩いた後に行えば疲れを癒やしてくれます」

 桑原院長が勧めるのは、「アキレス腱」「ふくらはぎ」「股関節」「太もも」のストレッチ。やり方はこうだ。

■アキレス腱ストレッチ

①壁の前に立ち、両手を壁につけて両肘をまっすぐ伸ばす
②片方の足を一歩後ろに下げる。このとき両足のつま先は壁に対して垂直にする
③この姿勢で前に出ている脚の膝をゆっくり曲げていく。後ろの脚のアキレス腱が気持ちよく伸びた状態で1分間キープする。もう片方のアキレス腱も同じように伸ばす

■ふくらはぎストレッチ

①正座してから片方の膝を立て、両手で抱える
②立てた膝に体重をかけながら上半身を前に倒す。ふくらはぎが気持ちよく伸びた状態で1分間キープする
③もう片方のふくらはぎも同じように伸ばす

■股関節の内ひねりストレッチ

①両膝を立て、両手を後ろの床につけて座る
②片側の足を外側に出しながら、膝を内側にゆっくり倒す
③太ももの付け根から外側が、気持ちよく伸びたところで1分間キープする
④もう片方も同じように伸ばす

■股関節の外ひねりストレッチ

①両膝を大きく開いて床に座り、左右の足裏を合わせて両手でつま先を持つ
②背筋を伸ばしたまま、上半身をゆっくりと前へ倒していく
③両肘で太ももの内側を押し、股関節を広げる
④太ももの内側が気持ちよく伸びている状態で1分間キープする

■股関節伸ばし、太ももストレッチ

①両膝を床につけて立ち、片側の脚を(膝を曲げた状態で)前に出す
②この姿勢でゆっくりと上半身を(腰は反らさず)前に突き出す
③後ろの脚の太もも前面が気持ちよく伸びた状態で1分間キープする
④もう片方も同じように伸ばす

 脚の付け根の柔軟性を高めると股関節が動かしやすくなり、正しい歩き方をサポートしてくれるという。

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