「高齢者に老人環が見られた場合は他に目の症状を示すことはほとんどなく、視力も最後まで低下しません」
老人環はその名の通り主に老化によって起きる。60歳以上の人の約60%にこの状態があり、80歳以上ではほぼ100%がこれを持っている。
「原因は角膜の表面に近い部分に形成される脂肪沈着です。血液中の脂肪は、人の食事中の脂肪に由来し、肝臓でも生成されます。コレステロールは血中に表れる脂肪の一種です。ただし、老人環の発生は、その患者のコレステロール濃度が高いことを必ずしも意味しません」
■脂質異常症が隠れているケースも
しかし、45歳くらいまでの人に老人環が出たとしたら話は別だ。放置すれば、心臓疾患、脳卒中などにつながる脂質異常症が見逃される可能性がある。そのため医師は若くして老人環がある人は脂質異常症を疑い、血液検査を行うことがある。