【“治る”難聴もある】
たとえば、鼓膜に穴が開く「鼓膜穿孔」だ。耳掃除などで鼓膜に穴が開くと、通常は自己再生能力で1~2カ月のうちに自然に穴が塞がるが、うまく塞がらずに水や異物が入って中耳炎を起こすと鼓膜が再生されず、鼓膜穿孔に至る。すると難聴が生じる。
「これまで耳の後ろの皮膚を切って行う手術しかありませんでしたが、特殊な薬剤(リティンパ)を穴の部分に置くと鼓膜が再生する鼓膜再生療法が日本で世界に先駆けて開発され、昨年11月に保険適用になりました。外来ででき、実質の施術時間は10分ほど。後遺症がほぼなく、聴力改善が期待できます」
加齢による難聴か、鼓膜穿孔かは、専門医が診ないと分からない。低侵襲性の治療で難聴が改善できる可能性があるのだから、そういった意味でも早めの受診が賢明だ。