独白 愉快な“病人”たち

「手遅れではない」の言葉で…笠井信輔さん悪性リンパ腫との闘い

笠井信輔さん(C)日刊ゲンダイ

 それまでは300人しかいなかったフォロワーが、がんを公表してからぐんぐん増えて、最高はブログ17万人、インスタグラム30万人にもなりました。そうなったとき、「ここで自分が心折れたらたくさんの人を失望させてしまう。負けちゃいけない。病気を治して元気な姿を見せるのが私の使命だ」と感じ、大きなエネルギーになったんです。

 SNSに光と影があるとすれば、私は番組などでは主に「危ない」「怪しい」という影の部分を報道する立場にいました。でも、がんになったらほぼ光しか感じませんでした。SNSでこんなに勇気づけられるものなんだと実感できたことは、これまでにない気づきでした。

 以前から私は「人生はプラマイゼロでできている」と思っているんです。ずっと右肩上がりの人生もなければ、右肩下がりの人生もない。ひどい状況になっても、こらえて上を向いていれば上向きな人生になっていくって。その通り、病気で仕事を失い、収入を失いはしましたけれど、新たな出会いや新たな絆を得ることができました。

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