新型コロナでわかった不都合な真実

実態以上?新型コロナの死亡はどのようにカウントされるのか

ヒューストンの病院で新型コロナウイルス患者を治療する医療従事者
ヒューストンの病院で新型コロナウイルス患者を治療する医療従事者(C)ゲッティ=共同

 現在も世界中で続けられている新型コロナウイルス感染症に対する対応は、現状に即してないのではないか? そんな声が海外の医療関係者の間で上がっているという。その原因のひとつとされるのが新型コロナ関連死のカウントの仕方だ。実態以上にカウントされているのではないか、というのだ。

 米国ミネソタ州の上院議員で医師でもある、スコット・ジェンセン氏は、今年4月に死亡診断書に関する米国疾病対策センター(CDC)の指導に関して異議を唱えているという。CDCの指導では、新型コロナウイルスの感染疑いがあれば、死亡診断書の死因を「新型コロナウイルス感染症」と書くことが望ましいとしているという。このようにして書かれた死亡診断書が潜在的な誤りを生み出したのではないか、というわけだ。

 しかも医療機関に支払われる報酬により、重症者の実数すらゆがめられている可能性もあるという。例えばメディケア(高齢者向け医療保険制度)受給者が退院した際、診断名のひとつに新型コロナウイルス感染症が含まれるか否かにより、医療機関に支払われる報酬が異なり、1人当たりの報酬は前者であれば約8000ドルも多いという。

 日本ではどうか? 感染した人の死をすべて新型コロナによる死とカウントする自治体と、新型コロナが直接の死因の時のみカウントする自治体とに分かれていた。しかし、今年6月18日付の厚労省の事務連絡により統一され、「新型コロナウイルス感染症の陽性者であって、入院中や療養中に亡くなった方については厳密な死因を問わず、『死亡者数』として全数を公表する」ことになった。そのため奇妙なことが起きている。例えば、岡山県で最初の感染死と報じられたケースでは、岡山市が「亡くなった人は別の病気で入院していて死因は別」としているのに、感染死としてカウントされ報じられた。

 すべての死者の死亡票を精査して最終的な死因を選択してカウントする「人口動態調査」が公表されれば新型コロナによる死者数は変わるかもしれない。「弘邦医院」(東京・葛西)の林雅之院長が言う。

「今年の人口動態調査が発表されれば、新型コロナウイルスの死者は減り、死亡率は低下する可能性があります。これは世界中が同じ状況だと考えられます」

 米国CDCが8月までの死者について死因を精査したところ、「新型コロナウイルスが唯一の死因であった死者」は全体の6%で、ほかの死者には、高血圧や糖尿病など平均で2・6件の別の疾患があったという。

「死因にはその病気が直接死につながる『直接死』と、その病気により抵抗力などが低下して他の感染症にかかったり、持病が悪化して亡くなる『間接死』があります。ですから、この発表で94%は新型コロナ死じゃなかったんだ、と思ってはいけません。ただ、いまは必要以上に新型コロナ死が強調され、人々が萎縮している可能性があるのではないでしょうか」

 人はいつかは死ぬ。年齢、基礎疾患の有無、平均寿命などを勘案し、新型コロナ死を冷静に判断すべき時にきているのではないか。

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