専門医が教える パンツの中の秘密

尿道炎を起こすプラズマ感染症 近年になって原因菌を特定

写真はイメージ

 尿道炎は、尿道に病原体が感染して炎症を起こした病態です。その原因は細菌の一種である「クラミジア」と「淋菌」で約70%を占めます。それ以外の原因で起きている尿道炎は「非クラミジア性非淋菌性尿道炎」と分類されます。それは、これまで原因の特定が困難だったからです。

 しかし、近年では非クラミジア性非淋菌性尿道炎のうち、約20%が細菌の一種である「マイコプラズマ」か「ウレアプラズマ」が原因であることが分かってきました。最近は、どちらかが原因の場合は「性器マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症」と呼ばれます。女性の場合は子宮頚部に感染し、「子宮頚管炎」の原因になります。

「マイコプラズマ」は、肺炎を起こす原因菌(マイコプラズマ・ニューモニエ)としても知られていますが種類が異なります。尿道炎の原因になるのは「マイコプラズマ・ジェニタリウム」と「マイコプラズマ・ホミニス」の2種類です。ウレアプラズマは、「ウレアプラズマ・ウレアリチカム」と「ウレアプラズマ・パルバム」の2種類が尿道炎の原因になります。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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