進化する糖尿病治療法

糖尿病患者の新型コロナ 感染のしやすさと重症化のしやすさ

重症化するリスクが…(C)新華社=共同

 では、同じ糖尿病でも血糖コントロールが良好な群と不良の群ではどうか? 

 中国のコロナ患者7337人における死亡リスクでは、7・8%が糖尿病ありで、2・7%が糖尿病なし。さらに血糖コントロールで見ると、良好の群(平均HbA1c7・3%)は死亡リスク1・1%で、不良の群(同8・1%)は11・1%。糖尿病があっても血糖コントロールが良好な群は、糖尿病なしと死亡リスクは同等で、不良の群は死亡リスクが高くなっていたのです。

 まとめると、まず、糖尿病があってもコロナに感染しやすいわけではない。次に、糖尿病があるとコロナで重症化するリスクがある。さらに、血糖コントロールが良好なら、重症化を避けられる可能性がある。

 糖尿病の患者さんの中には、コロナ感染を恐れて極力自宅にこもり、人と接触しないようにしている人もいるでしょう。仕事や学業、生活に必要な用事でステイホームとはいかず、不安を抱えながら外出していた人もいるでしょう。それによる運動不足やストレスは、糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めます。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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