コロナ第3波に備える最新知識

若者は後遺症、中年は重症化、高齢者は感染に備える

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス感染症の正念場がやってきた。1日当たりの新規感染者数は右肩上がりに増え、3密が避けられない家庭内や病院・職場での感染も広がっている。指数関数的に増加する感染爆発が目前に迫っている。これからの対処法について、東邦大学医学部名誉教授の東丸貴信医師が言う。

「個人レベルの感染予防に全力を挙げることは当然ですが、恐れ過ぎる必要はありません。世界中の研究により新型コロナの正体がかなり分かってきて、その対処法として『手洗い』『マスク』『3密回避』『換気』などが有効なことが医学的に証明されてきています。これを徹底しつつ、寒さと乾燥で活発になったウイルスに適切な対処をすれば、それほど萎縮する必要はありません」

 過剰な自粛は個人の精神、身体的健康と社会経済活動を低迷させ、自殺者や病死を増やしてしまう。高血圧など生活習慣病や心臓血管病などの持病を悪化させ、これらの病気やがんの診断や治療にも支障を与え、命を縮めることはご存じの通り。新型コロナの最大のリスク要因は年齢。年代ごと、家族構成ごとに対処法を変える必要がある。

「若い世代は、マスク着用なしの会話や密着会話(マスク着用にかかわらず)を避け、集団で会食やカラオケをしない今の生活を厳守していれば感染リスクが大きく高まることはないと考えます。ただし、乾燥する冬はウイルスを含んだエアロゾルや飛沫核が密閉された室内に長く滞留する恐れがあるため、頻繁な換気が重要です。無症状や軽症であっても感染後数カ月は嗅覚の消失、頭痛、倦怠感といった後遺症に悩まされることがあります。『若いと重症化しづらいので怖くない』などと考えてはいけません」

■最善策は人と接触する機会を減らすことだが…

 家族に高齢者がいる場合は、なるべく近づかないこと。食事前に全員が入浴を済ませ、外から持ち込んだウイルスが食べ物にかからないようにしたい。働く世代では万一感染した場合に症状が悪化しやすい。他人にうつさない策と重症化しないための道筋を考えておくことが必要だ。

「感染を疑う指標として体温37・5度以上が挙げられていますが、必ずしも感染者全員が発熱を伴うわけではありません。息切れする、倦怠感が強い、という場合は感染を疑いPCR検査を受けるべきです。インフルエンザでは家庭内感染の原因は父親といわれているので、家族がいる場合はしばらく『個室』で自己隔離生活するのも手です」

 全世代に共通することは、散歩や運動などを屋外で楽しむことや、換気が良く感染対策のしっかりしているジムなどで運動するのは構わないが、マスク着用でも喫茶店、飲食店や病院の待合室などで密着状態での長時間のおしゃべりは避けるべきだ。換気の悪い場所を避けるのは当然だ。

 高齢者は、感染すると命に関わる可能性が高い。運動は維持しても、社会活動は自粛した方がいいかもしれない。

「最善策は人と接触する機会を減らすことです。とはいえ、年末年始に子供や孫との再会を楽しみにしている人も多く、それでは心の安定が保てない場合もあるでしょう。ネット環境を整えて、ネット越しに年末年始を過ごす方法を模索するのも良いかもしれません」

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