膵臓がんリスクが2倍近くも増える…「歯周病」の恐ろしさ

セルフケアとプロケアが必要(写真はイメージ)

 動脈の慢性炎症が起こると、血液中のLDLが動脈の内膜に入り込んで酸化LDLになる。それを処理するために白血球の一種がマクロファージに変化し、酸化LDLを取り込み炎症性物質を放出する。すると慢性炎症を誘発し、動脈硬化が進行する。

 歯周病はすべてのがんのリスクを上げることも指摘されている。

「かつてはがんは遺伝子の突然変異だと考えられてきました。しかし今は、慢性炎症でメチル化異常(染色体内の化学反応)が遺伝子に起こり、がん抑制遺伝子が働かなくなり、細胞ががん化することが分かっています。つまり、歯周病菌が全身の臓器に血液で運ばれ慢性炎症を起こすと、遺伝子のメチル化異常などが誘発され、がんのリスクを上げるのです」

 膵臓がんは予後が非常に悪いがんとして知られるが、ジンジバリス菌の保菌者は膵臓がんの発症リスクが1・6倍高くなり、歯周病菌の別の菌、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌の保菌者は、膵臓がんの発症リスクが2・2倍高くなるという研究結果もある。

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