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バイデンが厳しいコロナ対策 来年春夏まで国を支えられるか

次期大統領に当選したバイデン氏
次期大統領に当選したバイデン氏(C)ロイター

 次期大統領に当選確実となったバイデン氏は、就任後の最優先課題を強力なコロナ対策として早くもタスクフォースを立ち上げ、最悪な状況の中で一筋の光を投げかけています。

 アメリカのコロナ禍は大統領選の最終ステージから急速に拡大し、11月中旬現在、感染者累計は1000万人を超えて、1日の新たな感染者は14万人以上、1000人以上が亡くなっています。今回の爆発的な感染は全米50州で同時に起こっていて、これから迎えるクリスマスなど冬の大イベントを前に、厳しい季節を迎えることになりそうです。

 そんな中、医療関係者と科学者13人で構成されるバイデン氏の新コロナタスクフォースには、トランプ政権のコロナ対策を政治優先だと内部告発して降格された生物医学先端研究開発局のリック・ブライト博士も含まれています。科学に立脚した透明性の高いコロナ対策に期待が集まっています。

 対策の基本になるのは、トランプ政権では行われなかった、国を挙げてのマスク着用の義務付けです。現在50州のうち34州でマスクが義務付けられていますが、それ以外のマスクに抵抗する自治体を説得して実現させること、さらに多くの州で不十分な検査・追跡体制を拡充することも目標としています。

 また最も懸念されているのは、新たなロックダウンによる経済の後退です。4~6週間のロックダウンで感染を抑えながら経済支援する方が、むしろ迅速な経済復興につながるとの提案もあり、その可能性はゼロではないと伝えられています。

 バイデン氏はさらに、首席補佐官に長年の側近のロン・クレイン氏を指名。彼はオバマ政権のエボラ出血熱対策の責任者として感染症に詳しく、こうした人選からもバイデン氏のコロナ対策への並々ならぬ強い意志が感じられます。

 コロナ軽視のトランプ政権後の一転した厳しい対策で、ワクチンが行き渡る来年の春夏まで国を支えることができるかどうか。バイデン氏の手腕にかかっています。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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