独白 愉快な“病人”たち

「息子が卒業するまでは」がんと闘うAV男優の沢木和也さん

沢木和也さん(C)日刊ゲンダイ

 せめてあと3~4年、息子が高校を卒業するまでは生きていたい。もう自分の命はどうでもいいけど、息子のことが気がかりで仕方がないんだ。なにしろ、貯金ってものをしてこなかったからね。

 自分で言うのもなんだが、俺は20代からAVの世界で人よりも少しばかり稼いできた。でもあればあるだけ使ってしまって、それは結婚しても子供ができても変わらなかった。保険には入っていたから入院するといくらか入ってくるけど、病気になって初めてこんなにお金がかかるのかと痛感して、「貯金は必要だったな」と後悔している。

 ただ、自分の生き方は決して後悔してない。53歳でがんになったのはちょっと早かったけれど、飲み過ぎや遊び過ぎもいい経験だったし、そこで得たモノや人脈は必要なものだったと思っている。

 今、俺がデザインしたマスクを販売してくれたり、クラウドファンディングで自伝出版の企画が進んでいるのも、「沢木のために」と言ってくれる人たちのおかげ。元気になったら“フル勃起”したいね。もう7カ月もしてないから、不安になっちゃうよ(笑い)。

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