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髪<下>脱シャンプーのススメ 常温以下の「水洗髪」が理想的

写真はイメージ
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 毎日使っているシャンプーには「合成界面活性剤」が大量に含まれている。そのため、体質に合わない人では、長年使っているうちに「抜け毛」「薄毛」「パサつき」などの髪のトラブルの原因になる場合がある。「白金ビューティフルエイジングクリニック」(東京都港区)の山口麻子院長が言う。

「シャンプーの主成分の合成界面活性剤は皮膚のバリアーを破壊し、皮膚に浸透してしまいます。消炎鎮痛剤やステロイド剤などの薬が毛穴から吸収されるのと同じです。含まれる他のさまざまな化学物質も洗髪の間に頭皮の毛穴から吸収されますし、すすぎ残った化学物質は洗髪後も毛穴から吸収され続けます。そもそも毛穴を持つ皮膚は、汗や皮脂などを体外に出す『排泄器官』です。何かを受け入れるようにはできていませんから、口や胃のような自浄作用を備えていないのです」

 シャンプーで毎日洗髪していると、皮脂腺から分泌されている皮脂がごっそり洗い流される。すると皮脂が不足し、それを補おうとして皮脂腺が大きく発達する。この皮脂腺が毛に供給される栄養を奪ってしまうのだ。

 また、シャンプーで頭皮のバリアーが破壊されると、頭皮が乾燥して新陳代謝が悪くなり、毛の生える土壌である頭皮が薄くなってしまう。さらに合成界面活性剤の持つ細胞毒性が、毛を作るのに最も大切な毛根幹細胞にダメージを与える。これらの理由でシャンプーが体質に合わない人は、「抜け毛」や「薄毛」などを引き起こすのだ。

「髪のトラブルに悩んでいたら、試してもらいたいのは『脱シャンプー』です。シャンプーを使う洗髪の間隔を2~3日に1回に減らしたり、1回に使うシャンプーの量を減らしていくのです。そして、徐々にシャンプーを使わないお湯の洗髪だけに切り替えていきます。最終的には、常温以下の水で洗う『水洗髪』が理想です」

 シャンプーを使って毎日洗髪していると、皮脂腺が発達して皮脂の分泌が増える。それが酸化してニオイやベタつきの原因になるので、毎日のシャンプーが欠かせなくなるのだ。そのため、脱シャンプーは髪が短く量が少ない人は、一気にシャンプーをやめるようにチャレンジする。そして、不快なときだけシャンプーをするようにしてみるといい。発達した皮脂腺が次第に縮んできて皮脂の分泌量が減れば、ニオイやベタつきのもとはお湯や水の洗髪で十分洗い流せるという。

 それと、最低でも1日1回、洗髪する前にブラッシングを行うことが大切。ブラッシングをすると、余分な皮脂や過酸化物などの汚れが浮き上がってくるので、その上で洗髪をすると汚れをしっかり洗い落とすことができる。

 頭皮は指の腹で軽く、豆腐の表面や産毛をなでるような強さで洗う。力を入れてこすったり、爪を立てたりすると、頭皮を傷つけて炎症を起こす原因になるので要注意だ。ロングヘアの人は、髪をブラシでとかしながらシャワーで流すか、10本の指を使って根元から毛先に向かって手グシの要領で洗うようにする。

 ドライヤーは髪や頭皮を傷める原因になるので、短髪であれば使う必要はない。髪は「ケラチン」と呼ばれるタンパク質でできていて、60度以上になると変性する。しかし、髪が長ければ使った方がいい。それは水分を含んで膨れた髪は、ちょっとした刺激で傷ついたり、切れたりする。頭皮も湿っていると雑菌が繁殖しやすいからだ。

 ドライヤーを使う際は、髪から15センチほど離し、1カ所に集中しないで温風と冷風を交互に当てる。地肌が完全に乾いて、毛先が少し湿っている状態でやめるのが基本。ショートヘアで1分以内、ロングヘアでも5分以内を目安に切り上げる。

■それでもシャンプーを使うなら…

 脱シャンプーを達成できても、切り替えたばかりの頃はシャンプーを使いたくなる日もあるだろう。その場合、シャンプーではなく、「純せっけん」を使った方がいいという。

「純せっけんはオリーブ油やヤシ油、パーム油などの植物性の油や、牛脂などの動物の脂をベースに、苛性ソーダなどを加えることで界面活性作用を持たせたものです。自然界にある原料から作られている点が、合成洗剤のシャンプーと決定的に異なります」

 まず、ぬるま湯で髪の汚れをあらかた落としてから、ごく少量の純せっけんをたっぷり泡立たせてから、髪をやさしく洗う。

 リンスはドラッグストアなどで購入できる「クエン酸」を使って作る。洗面器いっぱいのぬるま湯に、小さじ2分の1のクエン酸を入れて、よくかき混ぜるだけ。純せっけんはアルカリ性だが、弱酸性のクエン酸を使うことで瞬時に中和できる。時間をおく必要はなく、髪が滑らかになったら十分に洗い流そう。

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