厄介なのはB型です。こちらは感染力が強い。輸血のほか注射器の使い回し、入れ墨、母から胎児への母子感染、さらにセックスと感染ルートがさまざまです。コロナウイルスと同様に、感染源を特定できないことも少なくありません。
B型がつらいのは治療を受けても、ウイルスを駆除しづらいこと。効果は3~4割。この点を踏まえ、慢性肝炎の進行を抑える治療を続けることになるのです。
でも、B型を巡っては福音があります。ワクチンがあるのです。ワクチンを子供の頃に接種しておけば、ほぼ100%抗体ができ、感染を予防できます。米国では、接種していないと、小学校の入学が認められません。B型肝炎ワクチンの接種は世界の常識で、遅ればせながら、“ワクチン後進国”の日本も、4年前から定期接種の対象になりました。
こうしてみると、B型とC型の肝炎ウイルスに対する予防と治療が進んでいて、肝臓がんは多くが食い止められることが分かるでしょう。そこを踏まえると、肝臓がん予防の第一は、感染の有無を調べる検査です。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵