独白 愉快な“病人”たち

「必ず治る病気になる」ALSと闘う恩田聖敬さんの思い

恩田聖敬さん(提供写真)

 その頃は、ALSの進行を遅らせる「リルテック」という薬を服用、同様の作用の「ラジカット」の点滴治療もスタートしました。また、胃ろう増設の手術を受け、車椅子を利用し、言語コミュニケーションはほぼ失われた状態でした。

 当時は、妻が私の介護を一手に担い、付きっ切りで世話をしてくれました。しかし、小学生になったばかりの娘や幼稚園年少クラスの息子の育児や家事と、私の介護を両立できるはずもなく、彼女の心も体も壊れていきました。想像以上に早い病気の進行を目の当たりにして、あの頃はまさに生き地獄でした。しかしそれでもなお、私たちは介護者の手を借りることに抵抗があったのです。

 自問自答を繰り返し、妻とも胸の内を打ち明け合い、妻から「私たちはパパの犠牲にはなりません。私たちはパパを犠牲にはしません」と言われました。それで、24時間完全他人介護を選択し、現在に至ります。

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