コロナ第3波に備える最新知識

コロナ発熱の勘違い 中高年は毎日同じ時間に体温を測るべき

微熱でも注意が必要
微熱でも注意が必要(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナ対策で忘れがちなのは毎日決まった時間に体温を測り、その変化に注意することだ。体温の変化は体の異変を教えてくれる。ところが、新型コロナ感染症の発熱に関して勘違いしている人が多い。

 厚労省は当初、「37・5度以上の発熱が4日以上続く」ことを新型コロナウイルス感染症の相談・受診の目安としていた。その後、新型コロナで入院した患者で入院前に発熱があった人が4割程度に過ぎなかったことがわかり、5月上旬にこの記載は取り消されたが、いまだに受診の目安を「37・5度以上の発熱」と思い込んでいる人は少なくない。この思い込みは中高齢者にとって致命傷になりかねない。「弘邦医院」(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。

「新型コロナに感染するとすぐに高熱が出るわけではありません。特に中高年は若い人より熱が出にくいので発熱については注意が必要で、微熱であっても状態が重いケースがあります」

 そもそも65歳以上の人の平熱は50歳以下の人より0・2度ほど低いことが知られている。しかも、高齢者は寒さや暑さに対する対応力が鈍るため、寒いときは体温は低いところで、暑いときは高いところで安定してしまいがち。さらにいうと、腰や膝などの関節痛などで日頃から消炎鎮痛剤を常用している人は少々の発熱は隠されてしまう。

「つまり、高齢者はただでさえ体温が低いのに、冬になるとますます体温が低くなり、発熱という体の異変を知らせる警報に気づきにくいのです」

 高齢者の体温が低くなる原因は脳や骨格筋、肝臓、心臓など熱の産生に関わる働きが鈍くなるだけではない。それを支える血管が少なくなることも一因だ。

「全身の血管の99%を占める毛細血管は40代くらいから目立って少なくなり、60代では20代の6割程度になるといわれています。毛細血管がなくなると酸素、栄養素、ホルモン、免疫細胞がたっぷり含まれた血液が全身の細胞に届かなくなります。その結果としてさまざまな代謝も行われなくなって熱をつくり出すことも、免疫細胞が体内に侵入したウイルスやウイルスに侵された細胞体を攻撃する機会も減る。感染しやすく、感染しても熱が上がりにくい体になってしまうのです」

 とはいえ、先に述べたように発熱は体の異変を知らせるシグナル。それを知るにはどうすればいいのか?

「人の体温は昼間は高く、夜から朝にかけて低くなります。ですから、中高年は定時に体温を測ることです。具体的には起床時、午前、午後、夜の4回、時間を決めて測るといいでしょう。ただし、食後は体温が上がるので食べる前に測るといい。常に4つの体温を覚えておいて、変化があるようなら、医療機関に電話などで相談することです」

 感染リスクが高く、気づいたときには重症化していることの多い中高年は「手洗い」「マスク」「3密回避」「換気」「ソーシャルディスタンス」に加えて、「体温測定」を生活習慣に取り入れることが重要だ。

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