ビートルズの食生活から学ぶ健康

ハンブルクでの活動中、彼らの食生活はひどいものだった

ジョンの食生活はのちに改善されるが…(C)ゲッテイ=共同

 昼食を波止場近くの英国船員団体宿舎の食堂で食べることもありましたが、中身はフィッシュ&チップス(白身魚のフライとフライドポテトの組み合わせ)などの軽食類でした。ハンブルクでは一晩に何ステージもこなすハードな仕事のため、ステージ上で大量のビールを飲み、無料で提供されたサラダを食べるという生活でした。メンバーが二十歳前後だったからこそ続けられたのでしょう。この頃の写真を見ると、メンバー全員とてもスリムなのですが、決して食生活に恵まれていたわけではありませんでした。 

 大ヒットを飛ばし始めた時期の63年12月25日、ハンブルク公演中のクリスマスパーティーでは、メニューとして、フィッシュ&チップス、ソーセージ、キドニーパイ(牛や豚の腎臓が入ったパイ)、飲み物はビール、ジン、スコッチウイスキーなどが出された、と紹介されています。フィッシュ&チップスはイギリスの国民食として欠かせない存在だったようです。60年代初頭のハンブルク公演時の食事は粗食であり、一方でビールは飲み放題だったようですから、このような食生活を長期にわたって続ければ、アルコール性肝障害などを引き起こしたかもしれません。

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松生恒夫

松生恒夫

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

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