科学が証明!ストレス解消法

“背筋をピンと伸ばす”だけで気持ちもやる気もアップする

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 みなさん、はじめまして。堀田秀吾と申します。私は普段、法学・言語学・心理学・脳科学などの立場からさまざまなコミュニケーションを研究している学者です。

 その過程の中で、世界各国、多種多様な論文や実験で実証されている科学的エビデンスに出あい、「心が豊かになる」「心が元気になる」といった世の中の役に立ちそうな研究を紹介する一般書をこれまで多数執筆してきました。10月には「図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました」という書籍を発刊。今回、みなさんの心が元気になるような科学的に証明されているアクションをご紹介していく機会に恵まれました。以後、よろしくお願いいたします!

 みなさんもご存じの通り、今年は3月以降コロナ一色に包まれ、「イエナカ需要」が高まりました。なかなか外に出られず、ストレスがたまった方も少なくないと思います。そこで第1回は、私自身もよく行う&家の中でも簡単にできるストレス減退法を紹介しようと思います。

 その方法は、いたってシンプル。「背筋をピンと伸ばす」だけ!

 カルガリー大学のリスカインドとテキサスA&M大学のゴティの研究では、背筋を曲げた場合には、無力感やストレスを感じがちになる傾向が観察されました。うつ病患者の大半が背筋が丸まっているという結果もあります。「鶏が先か、卵が先か」ではありませんが、下を向いて歩いたりスマホを見ながら歩いたりすると、やる気やストレスに悪い影響を与えかねないのです。定期的に背筋を伸ばすことを心がけてくださいね。

 背筋を伸ばす効果は、ストレス減退だけではありません。なんと、やる気も左右するというのです。

 ハーバード大学のカーニーらが行った研究では、被験者を「堂々とした姿勢(A)」と「縮こまった姿勢(B)」の2つに分け、それぞれの群にギャンブルをしてもらいました。その結果、Aの方がよりリスクの高い賭けに好んで臨んだのです。

 さらに2つの群の被験者の唾液を調べたところ、Aの群は、決断力、積極性、攻撃性、負けず嫌いなどに関係するホルモン「テストステロン」の増加が、Bの群より顕著だったといいます。

 姿勢を正す、背筋を伸ばす――。それだけで、チャレンジ精神がかき立てられ、戦う気持ちが生まれてくるのです。また、Aの群はストレスホルモンである「コルチゾール」が低下していることも分かりました。

 私は講義中、学生たちに「1分ほど背筋を伸ばして」と言うことがあります。すると眠たそうだった学生も、その後は集中して話に耳を傾けてくれます。ほんの少しのことをするだけで、ストレスを減らせたり、心を元気にするアプローチが、実は生活シーンの中にたくさんある。この連載では、そんなエビデンスに基づくハッピーになれる方法をお伝えしていければと思っています。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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