Dr.中川 がんサバイバーの知恵

コロナ禍で注目 がんの「セカンドオピニオン」と「治療選択」

今も健康診断でチェック(C)日刊ゲンダイ

 思い出されるのは、コロナの第1波が拡大した春に手術などの延期が相次いだこと。前回、今も延期が続いていると書きましたが、その理由は異なります。春は、院内感染予防などによる“やむを得ない延期”だったのに対し、今は患者自らが検診を自粛することによる診断の遅れ↓“自発的な治療の遅れ”。ですから、がん治療は受け入れ余地があるのです。

 がんの3大治療のうち手術はメスを入れることに伴う感染リスクが、化学療法は免疫力低下による感染の恐れが考えられます。そこに心理的な抵抗がある人は、放射線治療がおすすめです。

 特に肺がん、食道がん、頭頚部がん、前立腺がん、子宮頚がんは、放射線治療が効果的。早期ならいずれも手術と同等の治療効果が得られます。しかも放射線は外来で治療でき、入院の必要がありません。仕事と治療を両立しやすいのもメリットです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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