医者も知らない医学の新常識

年末恒例の「第9」 今年は2メートル以上離れて鑑賞が正解

合唱の練習でもクラスターが発生した事例が(C)PIXTA

 年の瀬の風物詩のひとつといえば、「第9」の合唱です。ベートーベン最後の交響曲第9番、通称「第9」を年末に演奏するのです。

 そのラストには合唱が付いていて、「歓喜の歌」として有名です。プロのオーケストラと合唱団が演奏することもありますし、市民が参加して合唱する、というようなイベントも多数行われています。

 ところが、今年は新型コロナの影響で、多くの公演が中止となり、開催はされても合唱を減らすなど小規模な演奏になっているようです。普通の会話より大声で歌うことは、ウイルスの飛沫感染を増加させることが知られています。

 実際に集団でのカラオケや合唱の練習で、クラスターが発生した事例が、国内外で数多く報告されています。それでは、どのくらい離れれば、飛沫感染の危険性を回避できるのでしょうか? 

 今年の呼吸器学の専門誌に、興味深い研究結果が報告されています。ドイツで実際に「第9」の「歓喜の歌」の一節を、プロの歌手に幾つかの方法で歌ってもらい、飛沫の飛び方を高性能のカメラで計測しました。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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