重症化を防ぐ 新型コロナの治療に「抗生剤」が有効な可能性

医療関係者は懸命に患者と向き合っているが…(C)新華社/共同通信イメージズ

「今年8月、多発性骨髄腫の治療にマクロライド系抗生剤の『クラリスロマイシン』が有効であることを示した論文を『ecancer』という英国の専門誌に投稿し、電子版に掲載されました。論文作成過程でクラリスロマイシンの作用が新型コロナウイルスに対しても有効である可能性にたどり着き、論文に追加記載しました。クラリスロマイシンはマクロライド系抗生剤のひとつで、細菌のタンパク質合成を阻害し、細菌の増殖を抑えることで効果を発揮します。その他にも多彩な免疫調節や抑制作用があり、新型コロナにも有効な可能性があるのです」

 竹森氏によると、クラリスロマイシンには以下のような作用があるという。

■免疫の調節や抑制作用があり、とりわけインターロイキン6(IL―6)を顕著に抑制する

 新型コロナによる肺炎の重症化は、過剰な免疫反応で生じるサイトカインストームが主な原因といわれている。炎症を防ぐためのサイトカインが大量に放出されて暴走し、逆に強い炎症を起こす。IL―6は炎症を伴う疾患で高値を示すサイトカインで、重度の間質性肺炎や肺線維症を引き起こすことから、新型コロナの重症化にも大きく関わっている。

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