がんと向き合い生きていく

占い師に病院の方角が悪いと言われ…胃がん患者が転院を希望

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 出版社勤務のRさん(42歳・女性、独身)は、雑誌の編集や原稿の整理などの仕事を、テレワークでこなしていました。今年の春ごろから食欲がなく、出勤しない生活になったためかと思っていましたが、体重が5キロ減ったことで近くの胃腸科を受診したところ、某大学付属病院を紹介されました。

 そこでの診断は、手術ができないほど進んだ「胃がん」でした。Rさんはその後、某大学付属病院に通院して外来で抗がん剤治療を受けました。それから3カ月ほど経ったある日、Rさんは診療情報提供書を持参して、セカンドオピニオンを受けるためにC病院のG医師を訪ねました。

 G医師が「診療情報提供書ではしっかり治療が行われているようですが、お聞きになりたいことはどのようなことですか?」と聞くと、Rさんはこう答えました。

「担当医とどうしても合わず、病院を変わりたいのです。こちらに通院してもよろしいでしょうか? ここの病院を選んだのは、良い病院だと友達から勧められましたし、占い師がこの病院の方角が良いと言ってくれたからです」

1 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事