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在宅医療を受けたい…どうやってクリニックを探せばいい?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 飲食店なら「広告を見て探す」という手があります。しかし在宅医療の場合、在宅医療について漠然としか知識がなければ、広告を見ても問い合わせをするところまではなかなかいかないでしょう。そもそも広告を出している在宅医療のクリニックはそう多くはありません。

 それではベストな探し方は何か? 65歳以上の高齢者の場合は、地域包括支援センターという機関に相談するという手があります。

 地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを地域でサポートするための拠点であり、介護・医療・保健・福祉などの側面から支える「総合相談窓口」です。スタッフには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーがいます。

 地域包括支援センターはどの地域にもあり、民間に委託されるか、あるいは市町村が運営する形で運営されています。対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者、またはその支援をする方や家族であれば、だれでも利用できます。

 たとえば介護保険を申請する時、病院に主治医がいる場合はその主治医に検証してもらいますが、主治医がいない場合は、地域包括支援センターの担当者が医師を探してくれます。その場合、「この人は訪問診療の方が適切だろう」と担当者が判断すれば、この段階で訪問医に連絡がいきます。

 いずれにしても、65歳以上であれば、地域包括支援センターに電話して相談するのが最初の手段としていいでしょう。親と別居している息子・娘、またはその家族が問い合わせる場合は、親が住んでいる地域の地域包括支援センターに相談することになります。

 一方、患者の年齢に関係なく相談できるところとしては、患者支援がしっかりしている総合病院の退院支援や看護相談室という窓口があります。

 現在、私たちの診療所では順天堂大学医学部付属病院や国立国際医療研究センター病院、そして日本大学病院と連携していますが、そういった総合病院にはソーシャルワーカーがいて、「この地域でこういう病状だったらこの訪問診療の医師」といった具合に、しっかりアドバイスしてもらえます。自分が通っている総合病院の窓口に相談するか、もしもない場合は近くの総合病院に事情を話した上で相談するといいでしょう。

 ただ、紹介された医師が一つ一つの家族の歴史やしきたり、生活スタイルを加味して、在宅診療をしてもらえるかは、実際に在宅医療がスタートしないと分かりません。

 良い医師に巡り合うにはどうすればいいのか? この究極の命題に、残念ながら一般の患者さんやご家族の方の目線に立った、満足のいく答えはまだ見つかっていないのが現状です。それだけに、いつか在宅医療を受ける時が来たときのために、日頃から自分のコミュニティーの中で情報収集をしておくことが大事だと思います。

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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