科学が証明!ストレス解消法

おでこをトントントンと叩くだけで「暴食」を抑えられる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 街中を歩いているとジングルベルが聞こえてくる季節になりました。クリスマス、忘年会――。本来なら気持ちが高揚してくる時期ですが、今年は不要不急の外出を控えなければいけませんから、何ともやりきれない気分になります。

 家の中に閉じこもっているとストレスがたまりがちになりますし、何より間食が増え、太り気味に……。私も“腹の上のポニョ”をどうにかしたいと悩んでいるひとりです。どうしよう……。

 暴飲暴食を防ぎたい! そんな人にお勧めなのが「おでこをトントントンとタッピングするだけで湧いてきた食欲が解消できる」という面白い研究です。

 ニューヨーク市聖路加病院のウェイルらが行った実験で、肥満傾向の被験者の好きな食べ物への欲求を減らす方法として、以下の4つのアクションを比較して実験しました。

【アクション1】指で自分のおでこを30秒タッピング×4回
【アクション2】指で耳を30秒タッピング×4回
【アクション3】つま先で床を30秒トントンと叩く×4回
【アクション4】空白の壁を30秒見つめる×4回

 その結果、どのアクションも回数を重ねるごとに一定の食欲抑制効果が出ました。さらに【アクション1】のおでこをタッピングしたケースがもっとも高い効果があり、食欲が半分から3分の1程度まで減退することも分かったそうです。

 こういったタッピングは、おでこ以外にも、眉毛、目尻、目の下、顎、鎖骨などに行うEFT(感情解放法)と呼ばれるストレス解消法として知られ、その効果についていま議論されているところです。

 ベングリオン大学のクロンドが2016年に行った、EFTに関する過去の研究を総合的に検討した「メタ分析」(複数の研究結果を統合し分析すること)では、EFTは不安解消に効果があると結論づけています。

 一方、ダイエットをしたいがために空腹を我慢することは良いこととは言えません。そもそも空腹になると、心の安定と深く関係する物質セロトニン(通称・幸せホルモン)が減少します。イライラするのは、このためです。セロトニンが不足すると、うつ病や不眠症などの精神疾患に陥りやすいといわれているほどです。

 ポイントになるのが、人がストレスや不安を感じる脳の一部“扁桃体”の存在。この扁桃体がマイナス信号を感じると、発汗やふるえ、イライラなどを引き起こすようになっています。そして、扁桃体はマイナスのものだけでなく、自分にとってプラスになる刺激も感じます。空腹時はセロトニンが減少しているため、扁桃体はマイナス信号を感じてイライラを募らせている――。ならば、自分のテンションが上がるようなこと、たとえば大好きな映画を見たり、好きな歌手の音楽を聴いたりすれば、扁桃体は幸せを感じてセロトニンが増えていくようになります。結果、イライラを軽減できる可能性も高くなる。タッピングに加え、自分の好きなことをする機会を増やすことも、気持ちを落ち着かせるコントロール術なのです。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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