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熱が出た…お風呂には入らない方がいいのでしょうか?

救急医、総合診療医の沖一匡氏
救急医、総合診療医の沖一匡氏(C)日刊ゲンダイ

 風邪やインフルエンザで発熱して、汗をかいたら入浴してもいいのか――。迷う方は多いでしょう。実際、病院で診察時に「今日は湯船に入らないでください」と指導されたことがある人もいると思います。しかし、これには科学的な根拠はありません。

 結論から言えば、発熱時に入浴したからといって、それだけが原因で症状が悪化することはありません。

 38度や40度の高熱であっても、水分が取れていて食事もできる状態の人はいますし、全身状態に問題がなければ心配はないでしょう。

 それではなぜ、「発熱時の入浴はよくない」と言われることがあるのか。

 それは、昔は民家の構造的にお風呂が自宅の離れに設置されていたり、五右衛門風呂のように屋外にあったり、寒暖差が大きかったためだと考えられます。入浴という行為は、心拍数も上がりますし、発汗作用があって体力を消耗します。入浴後に寒暖差のある環境に身を置くと湯冷めし、体に負担をかけるのです。

 しかし、現在は一戸建ての住宅もマンションもお風呂場や脱衣場に暖房が付いていたりします。湯冷めのリスクが低いので、入浴そのものが害にはなりません。また、入浴は体を温める効果だけでなく、お風呂に入る一連の動作にも意味があります。

 発熱時は体を動かすことで、「セロトニン」の分泌を促し、発熱時の関節の痛みを和らげてくれるのです。

 ただし、細菌性のウイルスによる発熱で肺炎も起こしていて、立ち上がるのも難しいという状況なら、入浴は避けてください。

▽沖一匡(おき・かずただ) 2007年3月琉球大学医学部医学科卒業後、09年4月湘南鎌倉外科グループ所属外科レジデント。その後、高山赤十字病院救急・麻酔科・外科、千葉徳洲会病院外科などを経て、17年4月から北総白井病院救急・麻酔科、西山救急クリニック総合診療医。20年からは、あまが台ファミリークリニック総合診療医として勤務。やちよ総合診療クリニック院長も勤める。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」でも解説します。

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