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約2万人が死亡…「ヒートショック」対策を忘れていないか

入浴時の寒暖差対策を忘れずに
入浴時の寒暖差対策を忘れずに(C)PIXTA

 ここにきて一段と寒さが増してきた。そんな時季、中高年世代が注意しなければならないのが「ヒートショック」だ。ヒートショックとは主に急激な寒暖差によって、血圧の乱高下が生じることが原因とされる。血圧の乱高下による体への負担は大きく、脳梗塞や心筋梗塞などの健康被害を招く。血圧を正常に保つ力が衰えている中高年はもちろんだが、世代を問わず誰にでも起こり得る。とくにヒートショックによる浴室での溺水が増えている。

 東京消防庁のデータ、厚労省の人口動態統計などから類推して、ヒートショックが原因、あるいはその影響で亡くなる人の数は1万9000人にも及ぶとか。ヒートショック防止策としては、①入浴前に脱衣所、浴室を暖める②お湯の温度は41度以下③お湯につかる時間は10分以内④食後すぐの入浴はしない⑤飲酒後の入浴はしない、などだ。また高齢者は入浴を家族に知らせ、家族は入浴時間のチェックを欠かさないようにすること。

 とくに①には注意が必要だ。寒い脱衣所や浴室では血圧が上昇し、湯船につかると血圧は下降する。10度以上の温度差は血圧の乱高下を招く要因だから、脱衣の前にヒーターなどで脱衣所や浴室を暖めておく工夫が必要だ。浴槽のお湯、熱いシャワーなどで浴室の温度を上げてから脱衣するのもいい。統計的に日本人は諸外国に比べて冷暖房器具を使用して室温を調整することに抵抗感を覚える人が多いという報告もある。日本では、酷暑の時季、エアコンを使用せずに熱中症で亡くなる高齢者が多いことからもわかる。

「極楽、極楽」とうなりながら、冷えた体を長時間熱いお湯につかって温めたい気持ちはわかるが、本当に極楽に行ってしまうことのないように寒暖差対策を忘れずに!

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