医者も知らない医学の新常識

悪玉コレステロールは低いほどいい?健康な人は当てはまらず

コレステロールは低ければよいというわけではない(C)日刊ゲンダイ

 健康診断の血液検査では必ず測定されるLDLコレステロールは、俗に悪玉コレステロールと呼ばれています。それは、この数値が高くなると動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞や脳卒中などの原因になることが分かっているからです。特に糖尿病があるなど動脈硬化を進める他の病気も持っていると、その危険性はより高まり、治療によりコレステロールを下げることで、病気の予防になることも分かっています。

 ただし、他に病気のない健康な人の場合も、同じことが言えるかどうかは、はっきり分かっていませんでした。今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学専門誌に、デンマークで行われた、大規模な調査の結果が報告されました。

 10万人以上の一般住民を調査して、血液のLDLコレステロールと死亡リスクとの関係を見たところ、最も死亡リスクが低かったのは、健診では少し高めとされる「140㎎/デシリットル」くらいの人でした。その一方でコレステロールを下げる薬で治療中の人では、最も死亡リスクが低かったのは「89㎎/デシリットル」の人でした。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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