米食品医薬品局は新型コロナウイルスに対するワクチンの緊急使用許可を12月11日付で発表しました。一般メディアでもワクチンの有効率95%などと報道されており、ご存じの方も多いことと思います。
しかし、この有効率95%とは、たとえばワクチンを100人に接種したら、そのうち95人が感染症を発症しないということではありません。このワクチンの有効性に関する研究論文が、緊急使用許可が発表された前日の10日、世界的にも有名な医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されましたので紹介します。
この研究では、16歳以上の健常者4万3448人が対象となりました。被験者は新型コロナウイルスワクチン接種群、ワクチン成分の入っていないプラセボ接種群にランダムに振り分けられ、ワクチンの2回接種から7日以降の新型コロナウイルス感染症の発症が比較されました。
その結果、新型コロナウイルスを発症したのはワクチン接種群で0・04%(8人)、プラセボ接種群で0・88%(162人)でした。ワクチンを接種すると感染率が0・88%から0・04%に減るという結果です。このことはまた、ワクチンを接種するとプラセボと比べて、感染率が0・0455倍(0・04/0・88)に減ることを意味します。感染率が0・0455倍とは、つまり「1―0・0455=0・95」で、感染率が95%減るということです。
有効率95%とはこのような計算によって求められた数値で、言い換えれば1万人にワクチンを接種すると、新型コロナウイルスの感染者が88人から4人に減るということです。
ワクチンの安全性や長期的な感染予防効果など、現段階では不明な部分も多いですが、少なくとも人類にとって、このワクチンの存在が大きな希望のひとつとなることに間違いはないでしょう。
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