進化する糖尿病治療法

HbA1cが低すぎる人は自覚症状のない低血糖を起こしやすい

身近な人に理解してもらうことが大切(写真はイメージ)/(C)PIXTA

 低血糖は、糖尿病の薬物治療を受けている人すべてに起きる可能性のある緊急状態です。

 糖尿病の治療は言うまでもなく、血糖値を下げるのが目的です。

 しかし、下げ過ぎてはいけない。薬が、食後に血糖値が高くなった時だけに効けばいいのですが、そうでない時にも効果を発揮します。

 つまり、低血糖を予防するのは非常に困難で、糖尿病治療を受けている人はみな、低血糖のリスクについてしっかりと認識しておく必要があります。

 低血糖は食事のタイミング、食事の量、運動量、薬の種類、用量などが影響して起こります。

 血糖値が70㎎/デシリットル以下になると、まず交感神経症状が出てきます。冷や汗やふるえ、動悸などです。

■重篤な後遺症が出るケースも

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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