医者も知らない医学の新常識

乳児の呼吸を調べれば喘息になりやすいかどうか予測できる

喘息になりやすいかは生まれた時の肺の状態が影響している

 気管支喘息というのは、気管支にアレルギー性の炎症が起こり、胸がゼーゼーして息が苦しくなる発作を繰り返す、慢性の病気です。昔は発作のために亡くなる人も多く、日常生活が苦しくて送れないという人も多い病気でした。

 今では吸入ステロイドという、副作用が少なく、発作が予防できる薬が進歩し、アレルギーを抑える注射のような新薬も開発されて、発作のコントロールはかなりの部分まで可能となりました。

 しかし、喘息そのものを予防したり、その原因を治療して治すような方法は、まだ開発されていません。喘息には体質が影響しているといわれていますが、生まれつき決まっている部分が、どのくらいあるのかは分かっていませんでした。

 昨年の呼吸器学の専門誌に、赤ちゃんの時の呼吸機能と、その後の喘息の発症との関連を検証した研究結果が報告されています。特殊な方法で、生まれてから6カ月以内の乳児の呼吸機能を測定し、その後大人になるまでの経過を観察しました。すると、呼吸機能を示す2つの数値が低い乳児は、3分の2がその後喘息になっていたのです。

 喘息になりやすいかどうかは、今まで考えられていたより強く、生まれた時の肺の状態が影響しているようです。この研究が進歩すれば、喘息になるかどうかを生まれた時に予測して、予防することが可能になるかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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