「胃がんの手術を受けてから体重は7キロ減ったままだし、下痢をしやすくなっている。でも、どうしてげっぷが気になったのだろうか」
Dさんは理由を聞けなかったことを後悔しながら、担当医のちょっとした言葉や態度が気になるのは、自分が神経質になりすぎなのかもしれないと思い直しました。
翌日、Dさんが勤めている会社で月1回の部内企画会議がありました。新しい営業企画案が2つ出され、1時間ほどで終わったのですが、会議中に、まだ入社3年目の女子社員から「企画案とまではいかなくても、ちょっとした考えや少しでも気になることを出し合って検討する会を設けたらどうでしょうか」との意見がありました。
病院で“小さな気になること”をいつも聞けずにいるDさんは、「そうだ、そうだ。立派な企画書でなくとも、たとえ小さなことでも検討すべきだ」と思い、うれしくなりました。
会議が終わり、意見を出した女子社員を褒めようと思って近寄ると、「部長、背筋が丸くなっています」と笑顔で言われました。Dさんは思わず姿勢を正しました。
次回はがん相談支援センターを訪ねてみようかと考えているそうです。
がんと向き合い生きていく