独白 愉快な“病人”たち

音楽を生業にしているのに…月光恵亮さん難聴との闘い語る

月光恵亮さん(C)日刊ゲンダイ

■補聴器は自分に合わなかった

 補聴器は試してみたことがあります。耳鼻科に通っていた12年ころ、片耳20万円かけて、ちゃんと自分用に調整したものを作ったんです。ところが、それを着けて東京駅の八重洲口前の大きな横断歩道を渡ろうとしたとき、自分のそばをトラックが通り過ぎた瞬間、ガーッとものすごい音が脳を直撃して、脳振とうを起こして倒れてしまいました。それで、「危険だな」と思って使うのをやめました。補聴器はずっと耳に入れておけて、着けたり外したりしなくていいから便利なんですけど、僕には合わなかったんだと思います。

 試行錯誤した結果、2年ぐらい前から「集音器」を使うことで日常の音の“ステレオ感”をギリギリ維持しています。僕が使っている集音器は、顎の下あたりにある左右のマイクで拾って相当大きくした音を、耳に入れた骨伝導イヤホンで聞く仕組みになっています。僕は両方の耳にこのイヤホンを入れていますが、補聴器より耳にやさしいと感じ、合っていました。今はこれを着けないと、音はもうかすかに聞こえるだけですね。

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