独白 愉快な“病人”たち

音楽を生業にしているのに…月光恵亮さん難聴との闘い語る

月光恵亮さん(C)日刊ゲンダイ

 集音器は外出して人と会うときだけ使用しています。ただ、着けても女性の高い声は聞き取りづらいですね。後ろからクルマや自転車が近づく音に気付かず、ときどきひかれそうになったりもします(笑い)。すごく不便ですよ。でも、不思議なことに電話は使えるんですよね。

 音楽を聴けなくなって、そりゃあ寂しいです。「沈黙の世界」ですから。ただ、聴力はゼロではないので、新しい音楽をどうしても聴きたいときは、短時間ならイヤホンを着けてボリュームを上げれば聞こえます。普通、音楽って「聴くもの」だと思っていますよね。でも、僕は記憶の中に素晴らしい音楽がたくさんあって、いつでもすぐに頭の中で鳴らすことができるんです。音色も含めて。

 それに、音楽は僕にとっては鑑賞するものではなく「つくり上げるもの」なんです。

 だから、今は音楽に代わって絵を描くことで、創造への欲求を解消できています。絵を描いている間は、音楽をつくり上げている時間と変わらないんです。

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