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お節料理の定番チョロギは中国では風邪の治療に使われる

日本ではお節料理で使われるチョロギ
日本ではお節料理で使われるチョロギ(C)日刊ゲンダイ

 お正月にお節料理を堪能された方も多くいらっしゃると思います。お節料理の中に入っているシソ科の植物「チョロギ」。中国語の「朝露葱」を日本語読みしたものといわれ、泥を落とすと白色で食べるのは塊茎の部分です。見た目がトビケラの幼虫(石蚕)に形が似ていることから、草石蚕(ソウセキサン)とも呼ばれています。縁起ものということで、長老喜・長老木・長老貴・千代呂木という当て字もされます。

 チョロギは17世紀に日本に渡ってきたもので、中国が原産地。中国では「滋養強壮」「せき止め効果」などの風邪治療に用いられる薬用植物として利用されています。では、その他にどのような効果が期待されるのでしょうか?

 まず、チョロギに含まれる炭水化物にはでんぷんが含まれず、すべてオリゴ糖で構成されています。オリゴ糖を腸内でエサとするのがヨーグルトなどの乳酸菌。乳酸菌は夕食に取ると腸内環境を整えてくれるという報告がありますので、オリゴ糖を含むチョロギも一緒に取ればよりよい腸内環境が期待できます。ただし、たくさん食べるとお腹が緩くなることもあるので注意が必要です。マウスを使った実験では、チョロギに含まれるアクティオサイドが低酸素状態の脳細胞を活性化するのに有効な働きがあるということが実証され、脳梗塞や認知症への効果が期待されています。別の実験でも強力な抗酸化作用を持ち胃潰瘍を防ぐ働きがあることがわかっています。また、抗酸化作用や抗がん作用などを含む抗炎症作用が報告されているベルバスコシド、骨粗しょう症の治療に使われるハルパギド、血中のグルコースとコレステロール値を低下させる効果があるコハク酸までもが含まれているのです。

 最近はチョロギの梅酢漬けパッケージもよく見かけるようになりましたが、他にも白い生チョロギを茹でてユリ根のような食感を楽しむ、天ぷらにするなど食べ方のレパートリーがたくさん! お節に限らず、お正月明けの疲れた胃にもおすすめです。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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