科学が証明!ストレス解消法

“テレワークうつ”にならない科学的コミュニケーション術

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 年が明けて新型コロナウイルスの話題がより一層増え、なんだか年が明けた気がしない2021年。しばらくこの状況が続くことが予想されますから、外出自粛はもちろん、テレワークをする方も多いことかと思われます。

 昨年から“テレワークうつ”という言葉が取り上げられているように、慣れない仕事環境にストレスが募り、気持ちが落ち込んでしまう人は少なくありません。テレワークうつの要因は、「仕事とプライベートのオン・オフがあまりないこと」「コミュニケーションがうまく図れないこと」「運動不足」などが挙げられていますが、リモートによってコミュニケーションの取り方が変わったと、私も痛感しています。

 心の距離と物理的距離は比例するものです。リモートは遠い感じがしますから、どうしても“よそ行きの言葉”っぽくなってしまう。だからこそ、カジュアルな言葉を適度に使うことが大事です。

 また、心の距離を近づけるために、「今度の会議(授業)は、みんながお気に入りのTシャツを着て参加しよう」といった提案などをしてみると、同じリモートでも雰囲気が変わるかもしれません。ですが、「愛社精神を表すようなTシャツを着て参加してください」ではモラハラになりかねませんから、強制ではなく参加者の意思を尊重しながら提案するようにしてくださいね。

 ルールと違って、マナーには“配慮”の気持ちが問われてきます。強要や干渉は、配慮に欠ける行為といえます。英語の「polite」は「礼儀正しさ」と訳されていますが、英語圏では「配慮する」という意味で使われます。敬意とは相手に配慮すること。ビジネスシーンなどで他者を前にしたとき、「礼儀正しさ」ばかりを気にするのではなく、本来の意味である「配慮する」気持ちを持てるかどうかがポイントです。

 丁寧語は、どの言語も言い回しが長くなる傾向があるのですが、裏を返せば、手間をかけた言葉だからこそ敬意が伝わるともいえます。料理もそうですよね。手間をかけた分だけ付加価値が生じる。どう配慮していいか分からない人は、手間をかけてみるようにしてはいかがでしょうか。

 リモートは、対面の会議に比べるとはるかにリアクションが薄いため、伝わっているのか不安になるといった声も聞こえてきます。目が合ったり、話を振ったりすることで、会議に活気が生まれていくこれまでとは一変して、相手のリアクションがないため盛り上がらない……。これは私も学生とのオンライン授業で悩まされました。“誰かがするからいいだろう”という「傍観者効果」も働いて、熱が生まれづらい。

 そのため、ときには欧米人くらいオーバーなリアクションをするのもひとつの手です。「伝える」「伝わる」ことが相手を思う気持ちにつながります。そして、オンラインは自分の姿が見えるため、自分の表情や身ぶり、手ぶりの確認もでき、自分を知る機会につながります。自己表現の訓練の場として捉えてみてはどうでしょうか。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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