Dr.中川 がんサバイバーの知恵

BOROが手術に踏み切る腎臓がん 腹部エコー検査で早期発見

シンガー・ソングライターのBOROさん(C)共同通信社

 検査体制の充実によって偶発がんで見つかる割合が年々上昇。今では7割に。それに一役買っているのが、腹部超音波(エコー)検査です。

 腹部エコー検査はお腹の周りにゼリーを塗り、超音波を照射して臓器を調べる検査。たとえばすい臓などは胃や十二指腸に囲まれていて見えにくいのですが、腎臓は見やすい位置にあるほか、腹部エコー検査で必ずチェックされる臓器で、早期に発見されやすい。

 ラッキーなのは、BOROさんのように経過観察しながら、手術など治療のタイミングを計るのが可能なこと。これを監視療法といいます。監視療法は前立腺がんや甲状腺がんでよく知られますが、腎臓がんでも一般的なのです。

 エコー検査のほか、CT検査やMRI検査などを定期的に受けながら腎臓がんの状態をチェックします。がんが十分小さい人だけでなく、高齢やほかの病気の状況などで手術のリスクが高い人も選択肢のひとつです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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