Dr.中川 がんサバイバーの知恵

BOROが手術に踏み切る腎臓がん 腹部エコー検査で早期発見

シンガー・ソングライターのBOROさん(C)共同通信社

 がん治療で名高い米メイヨークリニックの報告では、発見時の腫瘍サイズが2センチ以下の場合、発見時に転移があった割合も、術後3年後に転移が見つかった割合もゼロ。腫瘍サイズが大きくなるにつれて、発見時に転移がある割合も、術後3年後に転移が見つかる割合も高くなります。7センチ以上だと、それぞれ16・5%、43・7%です。

 腫瘍サイズが4センチ以下なら、腎臓の全摘ではなく、腫瘍のみの部分切除ができます。さらに切らずに済む定位放射線治療も保険適用です。いずれも、老廃物や余分な水分の排泄、イオンバランスの調節といった腎臓の機能を守ることができ、偶発がんで見つけるメリットは大きい。

 もちろん、監視療法にも転移や高カルシウム血症などのリスクがありますから、十分な注意が必要です。それでも早期発見のメリットは計り知れません。

 腎臓がんは50~60代の男性に多く、女性の2倍。喫煙と肥満がリスクですから、当てはまる人はしっかりと腹部エコー検査を受けることです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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