進化する糖尿病治療法

寝汗、悪夢、起床時の頭痛、高血糖は夜間低血糖の疑いあり

寝汗や悪夢、起床時の頭痛は要注意 

 同じベッドで寝ている家族も気づきづらい。糖尿病罹患歴が長いと、夜間低血糖を起こしやすくなります。統計は出ていませんが、夜間低血糖で亡くなっている人はかなり多いと思います。

 夜間低血糖は、起こしやすい、いくつかの原因があります。次に挙げるのは典型的な例です。

 その日、Aさんの在宅勤務が終わったのは夜9時。夕食を食べ始めたのは、いつもより2時間以上遅い夜9時半で、夜に糖質をたくさん取るのは控えようと、ご飯はお茶わん3分の1弱にとどめ、その後に糖尿病の薬を飲みました。

 そして、大好きなウイスキーをちびりちびり。音楽を聴きながら飲んでいたら、飲み過ぎてしまいました。

■就寝中で本人も家族も気づかず命を落とすことも

 お酒を飲んだ後に入浴し、就寝。隣で寝ていた家族がAさんの寝言に驚いて目を覚ましたのが深夜2時くらい。揺り動かしても目を覚まさない。過去にもAさんの夜間低血糖を経験している家族が「今回ももしかして」と思い、点鼻グルカゴンを使用。そして、119番通報。実際、Aさんは夜間低血糖を起こしていたのですが、家族の迅速な判断で事なきを得ました。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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