進化する糖尿病治療法

寝汗、悪夢、起床時の頭痛、高血糖は夜間低血糖の疑いあり

寝汗や悪夢、起床時の頭痛は要注意 

 夜間低血糖を起こしやすい原因は、Aさんのケースでいえば、「何も食べないまま遅くまで仕事や家事で忙しく働く」「夕食の量が少ない。特に炭水化物がいつもより少ない」「夕食の時間がいつもより遅い」「お酒をいつもより多く飲む」「入浴」になります。

 これ以外では、「夕食・就寝前のインスリン注射の量がいつもより多かった」「インスリン注射の部位を変えた」「いつもより長く激しい運動をした」など。一般的にはインスリン注射で多いのですが、内服薬でもSU剤を中心に低血糖が起こることがあるので注意が必要です。

 夜間低血糖を起こすと寝汗をたくさんかいたり、嫌な夢を見たりします。

 起きた時の頭痛、朝食後の血糖値が非常に高いなども見られます。

 夜間低血糖を避けるには、リスクを高める行動を少しでも減らす。夕食の時間が遅くなりそうな時は途中でおにぎりを食べてください。また、夜の寝汗、悪夢、起床時の頭痛や血糖値の高さなどがあれば、夜間低血糖を起こしている可能性があります。主治医に相談してください。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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