セックスが痛い

挿入は絶対に必要?新しいスタイルのセックスを楽しもう

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 人との接触で感染する新型コロナウイルスにより、私たちの働き方や暮らし方がガラッと変わりました。人と接触する行為である「セックス」においても、大きなパラダイムシフトが起きようとしています。

 欧米の、日本の保健所のような機関は、「一緒に暮らす家族以外とのセックスの自粛」「自分で行うソロセックス(いわゆるマスターベーション)の推奨」を呼びかけています。マスターベーションを公に推奨するなんて、一昔前では考えられませんでしたよね。

 性交痛を考える仕事をしている私の立場としては、挿入、射精にこだわらないセックスの時代に突入していると考えています。

 性交痛は挿入するときに起きます。セックスを拒否するときは、挿入が痛いからしたくないというのが主な理由です。性欲も、痛みがあると下がります。また、痛くてできないけど、性欲はあるのに……という場合もあります。挿入しないで外側だけのタッチングなら問題なく、気持ちよくなれる人もいます。

 男性側も「挿入しなくたって満足のいくセックスをできる」という考え方に変わると、勃起障害、中折れ、膣内射精障害などに悩まなくて済みます。

「勃起するのが男」は誤った認識。少なくとも私は、女性の間でそういう話題を耳にしたことがありません。挿入なしでも工夫次第で男女共に存分に快楽を得られますし、考えて工夫することでセックスの進化が見込めます。

 パラダイムシフトでは、当然と思っていたセックス観が失われ、寂しく思ったり、居心地悪く感じるかもしれません。しかし、潤滑剤をたっぷり使って無理に挿入したり、薬を使ってまで勃起することに意味があるのか、今までの認識を考え直すきっかけになります。

 むしろ、こういう変化の時代に突入したとお互いに割り切り、「だからこそ新しい楽しみ方を考えよう」とオープンに話し合えるチャンスではないでしょうか。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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